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執筆者の写真れもん

幻のうさやまうさこ先生

更新日:2023年6月26日

うさやまうさこ先生という、4コママンガの先生をご存じだろうか。


1997年、26年前に4コママンガ雑誌で華々しくデビューを飾ったものの、デビュー作『新米研究員ミミコ』というドタバタ研究員マンガ1作しか発表していない、幻の先生なのである。

有名な4コママンガ誌だったので、目にした方もいるかもしれない。

とある研究室に就職することになったうさぎのミミコちゃんが主人公で、数々のやらかしを起こすドタバタで、超マニアックなラボラトリーマンガであった。


・・・何をかくそう、その幻の先生は私なのである。


氷河期世代だった私は、短大卒業後就職もできず、家で「家事手伝い」という謎の職に就いていた。

当時はテレビ番組『恋のから騒ぎ』(日テレ)でも「家事手伝い」という名ばかりのニートがよく出演していた時代だったので、大手を振って街を歩いていた。

けれど、「おねーちゃん仕事しないの?」「家でゴロゴロしてないで仕事探しなよ!」などと家族(主に妹)からの風当たりは厳しく、くっそ!早く仕事を見つけねば・・・と思っていた。


私はマンガが好きだったけれど、4コママンガが特に好きでいろいろな4コママンガ誌を購入していた。

特に愛読していた4コマ雑誌が『マンガ大賞』という、長年大賞受賞者が出ていないコンテストをやっていたので、「家事手伝い」の合間に描いたマンガで応募してみることにした。


結果は1作目にして「佳作」。

誌面にマンガ評が載っていて、自分のマンガが「メルヘン」と評されていたので、

私のマンガってメルヘンだったんか!?全然そんなつもりで描いてなかったけど・・・。

と軽くショックを受けたのだった。


そんなショックも忘れたころ、うちに1本の電話が。

「作家さんが一人原稿お休みになってしまうので、急遽穴埋めでマンガをお願いできないか。」

とのことだった。


青天の霹靂!!!

そんなわけで急遽、若干20歳にして4コママンガ作家としてデビューすることとなった!!!


ベースは佳作を受賞した作品で、それを読みきりとして手直しする感じで行きましょうとなり、急いで4コママンガのラフを描きあげた。


だがしかし、1997年はまだパソコンやケータイで大量の画像を送るなんてことのできなかった時代。

イラストなどのデータを送るにはFAXが必要不可欠だった。

当時コンビニのないクソ田舎に住んでいた私は、近所のFAXが送れる施設を探しに探し、やっとの思いで出版社にラフを送った。

電話代(FAX送信代)がめちゃくちゃかかった記憶がある。


それから打ち合わせで直接編集者さんと会い、あれこれすり合わせの作業をし、いよいよマンガが掲載されることとなった。


(ほぼ実話をもとにしたマンガ。キャラの線濃い!枠線めちゃ太い!字へたくそ!!!

いろいろツッコミどころが多く、恥ずかしくなってしまう。)


そういえば、打ち合わせで直接編集さんとお会いした時、投稿した佳作の原稿を返してもらった。

「うち、原稿返すの遅いんですよ~。」

というセリフとともに。


さて次の作品はいつかしら・・・ワクワク!

と、期待を胸に膨らませていたのだが、なんと、担当の編集さんがクビになってしまった。

その方が担当されていたマンガ家さんはみんな誌面から消えていき、少しおじさん向けっぽくもあった4コママンガ誌が刷新され、若者をターゲットにした誌面作りに変わっていった。


実家にはあれからFAXが導入されたけど、結局1度も原稿のラフを送ることがなかった。

実家のFAXを見るたびに申し訳のない気持ちになるのであった。


「うち、原稿返すの遅いんですよ~。」というセリフが、頭の中で繰り返される・・・。

載った原稿は当然返ってきていない。

もうきっと捨てられて焼却されているのだろう・・・。

本当に幻になってしまった。


ほどなくして、近所のCD屋がバイト募集を始め、そこで雇ってもらうこととなったので、「家事手伝い」という謎の職からも足を洗い、家族(というか妹!!!)からの風当たりもよくなった。マンガ家デビューしたことも忘れ去られていった。


その後どこからもお声がかからなかったので、うさやまうさこ先生の次回作もなく、今に至る。

去年がデビュー25周年なので、なにか「ミミコ」の新作でも発表しようと思っていたけれど、ぼーっとしているうちに過ぎてしまった。


結局幻のまま消えてしまった「うさやまうさこ先生」。

活躍できなくて・・・ごめんね。

これからは「れもん」の名前でがんばるからね!

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